まち研AI講座でやりたいこと:諫早の現場知を、次の人へ渡せる形にする
まち研でAI講座を考えるとき、私は「AIを学ぶ講座」とだけ言うと少し違うと感じています。
もちろん、ChatGPTの使い方、文章の作り方、画像生成、情報整理の方法は扱います。
でも目的は、AIの機能を覚えることではありません。
本当にやりたいのは、諫早で暮らし、働き、活動してきた人の現場知を、言葉と記録に変え、次の人へ渡せる形にすることです。
現場知は、本人にとって当たり前すぎる
地域の中には、知っている人しか知らない知恵があります。
- 町内会や地域行事をどう回しているか
- お店や活動を続ける中で覚えた工夫
- 初めて来る人に伝えたい場所や注意点
- 先輩から引き継いだ段取り
- 失敗しないための小さな判断基準
- 地域の人間関係や季節ごとの動き
こうした知恵は、外から見るととても価値があります。
でも、本人にとっては当たり前すぎて、「わざわざ残すほどではない」と感じられがちです。
その結果、担当者が変わったり、活動が一度止まったりすると、知恵がその人の中に残ったまま失われてしまいます。
AI講座は、ここに役立てられます。
AIは、経験を言葉にする相手になる
AIの良いところは、完璧な文章を一発で作ることではありません。
むしろ、話しながら整理できることです。
たとえば、参加者が自分の活動についてざっくり話します。
「毎年この時期は準備が大変」
「初めての人には、ここを先に説明した方がいい」
「この順番でやると後が楽」
「昔はこうしていたけど、今は少し変えた」
AIは、それを見出しに分けたり、手順にしたり、紹介文にしたり、FAQにしたりできます。
参加者は、AIが出した案を見ながら「それは違う」「ここを足したい」「この言い方なら伝わる」と直していきます。
このやり取りの中で、自分の経験が価値ある知識として見えるようになります。
講座で作る成果物
まち研AI講座では、難しいアプリをいきなり作るより、まず「残るもの」を作るのがよいと考えています。
たとえば、次のような成果物です。
| 成果物 | 何に使えるか |
|---|---|
| 活動紹介文 | 新しく関わる人への説明 |
| 引き継ぎメモ | 担当交代や次年度運営 |
| 地域のおすすめ整理 | まち歩き、観光、紹介 |
| よくある質問 | 参加者、来場者、協力者への案内 |
| イベント案内文 | チラシ、SNS、LINE配信 |
| 記録ノート | 活動の振り返りと次回改善 |
これらは、AIが作るものというより、人の経験をAIで整えるものです。
だから、参加者に高度なIT知識がなくても始められます。
意欲がある人だけを前提にしない
地域講座を考えるときに難しいのは、「自分の経験を次の人へ渡したい」という意欲を最初から強く持っている人ばかりではないことです。
むしろ、多くの人は、自分の経験に価値があると気づいていないかもしれません。
だから講座は、意欲のある人だけを集める場ではなく、自分の経験が誰かの役に立つと気づく場にしたい。
AIを触ることで、「自分がやってきたことは、ちゃんと残せる」「次の人に渡せる」と見えるようにする。
この感覚が生まれると、AI講座は単なる操作説明ではなくなります。
紹介者にも伝わる講座にする
もう一つ大事なのは、本人だけでなく、紹介者にも伝わることです。
たとえば、家族、職場の人、地域団体の人、行政や大学の関係者が「あの人に勧めたい」と思える必要があります。
本人向けには、こう伝えるのが自然です。
諫早でやってきたことを、ちゃんと残るものにする。
紹介者向けには、こう伝える方が伝わりやすいかもしれません。
諫早の「知っている人しか知らない知恵」を、AIで次の人に渡せる形にする。
この二つは、同じ講座を別の角度から説明しています。
まち研でやる意味
諫早には、地域の活動、商い、学び、暮らしの中に、まだ言葉になっていない知恵がたくさんあります。
それを大きなスローガンでまとめるのではなく、一人ひとりの経験から小さく記録していく。
AIは、そのための道具として使えます。
講座のゴールは、AIに詳しくなることだけではありません。
自分の経験を言葉にし、記録にし、次の人へ渡せる形にすること。
まち研のAI講座は、そういう実践の場として作っていきたいと考えています。
著者: 泉田幸太郎 最終更新: 2026年6月6日
